業界別漏えい量の目安
フロン類算定漏えい量 1,000t-CO2 の目安
空調で使っている代表的な冷媒R22,R410AはGWPが約2,000ですので、冷媒の実重量で500kgです。おもに事務所などで使われているビル用パッケージエアコンでは、国が調査した排出係数が3.5%ですので、500kg÷3.5%=14,285kgの冷媒を空調機器として持っている事業者が統計的には該当します。
一つの機器に平均10kgの冷媒が入っているとすると、14,285kg÷10kg =1,438台となります。したがって、本社、事業所に約1,500台以上のビル用パッケージエアコンを所有されている事業者が統計的には1,000t-CO2を漏えいしている事業者と言えます。
また、スーパーの場合は代表的に使っている冷媒がR404Aで、GWPが約4,000ですので、冷媒の実重量としては250kgとなります。
排出係数は16%ですので、同様の計算をすると1,562kgの冷媒をショーケース等の冷凍機内に所有する事業者が統計的には対象となります。 平成24年10月22日の産業構造審議会化学・バイオ部会 地球温暖化防止対策小委委員会、中央環境審議会 地球環境部 フロン類等対策小委員会 第5回合同会期の資料として日本チェーンストア協会の資料によると、スーパーマーケット一店舗あたりの冷凍・冷蔵にストックされている冷媒量は約800kgになります。
このことから、統計的な計算上では平均的なスーパーマーケットは2店舗で1,000t-CO2の漏えいとなります。
1,000t-CO2を越えた場合の報告の意味とは、管理者として自分の保有の冷凍空調機器からの漏えいの事実を管理者が認識することが重要です。次のステップとして、管理者はその認識の上に立って簡易点検、定期点検などを行うことで冷媒の漏えいを次年度以降に減らす目標をたてて管理をして漏えい量を減らすことが算定漏えい量報告の主旨です。
総合スーパー(10,000m2)
店舗あたりの平均保有機器
- ビル用マルチエアコン:40kW×20台
- ショーケース用のコンデンシングユニット(室外機):10kW×10台
店舗あたりの算定漏えい量:約150t-CO2
食品、衣料品、日用雑貨を販売している店舗のため、食料品スーパーに比べて空調機の台数は多く保有している。
平均で6店舗以上を有する管理者が報告の対象と想定される。
食品スーパー(1,500m2)
店舗あたりの平均保有機器
- 店舗・オフィス用エアコン:5~15kW×8台
- ショーケース用のコンデンシングユニット(室外機):4~30kW×10台
店舗あたりの算定漏えい量:約130t-CO2
平均:8尺のショーケースを約40台保有(青果2、精肉8、鮮魚10、酒類2、日配3、総菜2、その他)・・・新日本スーパーマーケット協会資料(平成22年11月9日)
平均で8店舗以上を有する管理者が報告の対象と想定される。
コンビニエンスストア(200m2)
店舗あたりの平均保有機器
- 店舗・オフィス用エアコン:3kW×2台
- ショーケース用のコンデンシングユニット(室外機):2kW、8kW
店舗あたりの算定漏えい量:約10t-CO2
平均で80店舗以上を有する管理者が報告の対象と想定される。
商業ビル(10,000m2)
一棟あたりの平均保有機器
- ビル用マルチエアコン:25kW×20台
一棟あたりの算定漏えい量:約10t-CO2
平均で28棟以上を有する管理者が報告の対象と想定される。
この場合のビルマルチエアコンの冷媒量は約30kg/台で想定。
飲食店(600m2)
店舗あたりの平均保有機器
- 店舗・オフィス用エアコン:5kW×3台
- 業務用冷蔵庫:0.75kW×8台
店舗あたりの算定漏えい量:約1.2t-CO2
平均で820店舗以上を有する管理者が報告の対象と想定される
食品加工工場(300m2)
工場あたりの平均保有機器
- 冷凍冷蔵ユニット:7.5kW×5台
工場あたりの算定漏えい量:約50t-CO2
平均で20工場以上を有する管理者が報告の対象と想定される