フロン類算定漏えい量が1,000t-CO2以上の企業様へ
冷凍空調機器の中に入っている冷媒はフロン類がおもに使われています。フロン類とはとても便利なもので、無色、無臭、無害として20世紀最大の発明の一つとされていました。なぜならば、それ以前の冷媒は有毒であったり、可燃性であったりととても取扱にくいものであり、これが利用できたことで冷凍空調機器は爆発的に発展・浸透して現在の我々の生活には生鮮食品の輸送、快適な居住空間の提供など可能にして無くてはならないものになっています。
ただし、これらの機器に使用されているフロン類の空気中への放出はオゾン層の破壊、温暖化への影響など世界的な規模で人類への悪影響となっております。
少し技術的な話をすると、冷凍空調機器とはこのフロン類を液体と気体の状態である、それぞれの専用配管の2本で室外と室内の間を行き来して熱の交換を行っているものです。例えば、夏季のエアコンの場合はコンプレッサーでは室内から戻ってきた気体であるフロン類を高圧で圧縮して室外にある熱交換機で熱を放出して液化させ、その液体を配管で室内の熱交換機に取り込み室内の熱エネルギーを吸収して気化させることで、室内温度を下げる仕組みとなっています。
ところが、この冷媒として利用しているフロン類は蒸発温度が非常に低いため、液化するためには圧力を高くする必要があり、コンプレッサー、配管などにかかる圧力は20~30気圧と非常に高圧になっていることが、冷媒が漏えいするという要因となっています。
以前は冷凍空調機器からのフロン類の冷媒排出は廃棄時の未回収だけに注目していましたが、経済産業省の調査により、使用時の事故を含めた排出が無視できない量で有ることが分かりました(産業構造審議会化学・バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会(第21回)平成21年3月17日)。また、その報告では調査の結果から機器の分類に応じて排出係数が示されました。
さらに、経済産業省の調査事業として、5,000台の冷凍空調機器に対して定期点検をしている機器としていない機器の冷媒漏えいに関する調査が行われました(平成23年~24年)。これによると、明らかに定期的に点検を行ってる機器からの冷媒の漏えいは少ないことがわかり、経済産業省と環境省の合同会議(平成24年第2回~4回)で示されました。
冷凍空調機器からの冷媒漏えいの漏えい箇所は本体と配管を接続する継ぎ手部分、配管と配管を接続する部分、本体などが主な箇所です。要因は設置工事、配管の適切な保持、配管の管理などに対して適切に処置されていないことによるものと経年変化による振動などによる金属疲労による破断、同じく経年変化による配管保持の劣化などによるものがあります。したがって、定期点検と簡易点検の重要性がわかりました。さらに、冷媒漏えいには大きく下記の3種類があります。また、冷媒が漏えいした状態で機器を使用し続けると、電力消費量が増加する問題と機器の故障に繋がります。
- 配管の腐食、継ぎ手部分の破断などにより、一気に冷媒が放出され冷凍空調機器が動作しなくなるので、すぐに故障に気付く。
- 配管、継ぎ手、機器に微少なピンホールが生じ、冷媒が僅かずつ漏えいして半年後、1年度などに初めて故障に気がつく。
- 項2と同様だがピンホールの径がやや大きく、冷媒漏えい量が多く1日~数日で不良に気付く。