改正フロン排出抑制法の施行 法律違反に対する罰則が強化されます

<フロン類算定漏えい量>
フロン類算定漏えい量の算定方法・算定手順

冷媒管理システム「RaMS(ラムズ)」の導入メリットRaMS(Refrigerant Management System)

RaMSとは「フロン排出抑制法」で遵守必要な項目をインターネット上で全て電子的に行うことができ、付加的なサービスを提供するものです。
フロン排出抑制法(第76条)で指定を受けた情報処理センターとして一般財団法人日本冷媒・環境保全機構はRaMSを運営提供しています。

冷媒管理システム「RaMS(ラムズ)」の導入メリット

<フロン類算定漏えい量>フロン類算定漏えい量の算定方法・算定手順

1.フロン類算定漏えい量の具体的な算定方法について計算例などを含めて分かり易く、詳しくお伝えしていきたいと思います。

① 算定漏えい量の算出方法

算定漏えい量は機器の整備時に充塡回収業者から交付された充塡証明書及び回収証明書からを算出します。 具体的な算出の式は次のようになります。
算定漏えい量(トン-CO2) =Σ〔冷媒番号区分ごとの{(充塡量(kg)-整備時回収量(kg))× GWP}〕÷1000 =Σ〔冷媒番号区分ごとの{ 実漏えい量(kg)× GWP }〕÷1000

1.まず冷媒番号区分ごとに充塡証明書と回収証明書を用意して、証明書に記載されている充塡量(kg)と回収量(kg)から実漏えい量(kg)を出します。

2.この実漏えい量(kg)に冷媒番号区分ごとのGWP(地球温暖化係数)を掛けます。

3.冷媒番号区分ごとに計算した算定漏えい量(二酸化炭素換算した漏えい量)(kg)を合計します。

4.合計した算定漏えい量はkg単位ですので、1000で割ってトン単位の算定漏えい量(トン-CO2)を算出します。

補足になりますが、
・算定にあたっては、管理者の全ての機器について交付された充塡証明書及び回収証明書の値から算出する必要があります。
・実際には事業所ごと、都道府県ごとの算定漏えい量を集計することが必要になります。
充填、回収証明書による漏えい量の集計

また、管理者(法人全体や事業所)として算定漏えい量が1000トン以上の場合には国(事業所管大臣)への報告が必要となります。

② GWP(地球温暖化係数)とは

GWPは地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)のことで、フロン類等の温室効果ガスの相対的な影響の大きさを簡単に表す指標です。二酸化炭素を1とした場合の温暖化影響の強さを現しています。

算定漏えい量の算出に当たっては、係数となるGWP値は告示*(フロン類の種類ごとに地球の温暖化をもたらす程度の二酸化炭素に係る当該程度に対する比を示す数値として国際的に認められた知見に基づき環境大臣及び経済産業大臣が定める係数)に基づき計算する必要があります。

*2023年4月1日フロン類 GWP告示がAR5(気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書)の値に基づき適用となっています。常に最新の告示係数値を確認、計算に使用下さい。

➡ 告示掲載先:https://www.env.go.jp/content/000113540.pdf

なおRaMSでは常に最新のGWP告示係数を使用して算定漏洩計算に反映しています。

参考までに代表的なフロン類のGWPをお知らせします。

冷媒番号区分 GWP
R22 1760
R410A 1920
R404A 3940
R407C 1620
R134a 1300

③ 算定漏えい量の計算例

具体的な算定漏えい量の計算例についてお知らせします。
エアコンAの場合、整備したときに充塡回収業者から交付された充塡証明書に記載された充塡量が10kg、回収証明書に記載された回収量が7kgであったとします。

エアコンAの算定漏えい量(トン-CO2)
={(充塡量(kg)-整備時回収量(kg))× GWP} ÷ 1000
={(10 - 7)(kg)× 1760 } ÷ 1000
= 3(kg)× 1760 ÷ 1000
= 5.28 (トン-CO2)
となります。

他の機器の算定漏えい量の計算値も記載してみました。

整備した機器 使用冷媒番号区分 充塡証明書・記載充塡量(kg) 回収証明書・記載回収量(kg) 実漏えい量(kg) GWP 算定漏えい量(kg)
エアコンA R22 10 7 3 1760 5280
エアコンB R410A 8 6 2 1920 3840
冷凍冷蔵ショーケースC R404A 1 0.6 0.4 3940 1576
冷凍冷蔵ショーケースD R410A 2 0.8 1.2 1920 2304
合計 13000

ちなみに、1000トン-CO2に相当する実漏えい量としては、R22の場合には、GWP値が1760ですので約600kgに相当することになります。(568.2kg X 1760 = 約1000トン-CO2)

2.フロン類算定漏えい量の算定手順の例をご紹介します。

① 管理する機器(第一種特定製品)の整理(機器台帳の作成)

まず最初に保有する既存の機器の台帳や作成してある点検整備記録簿、さらに新規に購入したり、廃棄した際の機器の記録など、保有している台帳や記録を活用して管理の対象となる機器の整理を行い基本となる管理台帳を作成します。

管理する機器(第一種特定製品)の整理(機器台帳の作成)

② 報告の対象となる事業所の一覧を整理

一方、報告の対象となる事業所ごとにそこに設置されている機器の種類ごとに取りまとめ一覧を作成します。

報告の対象となる事業所の一覧を整理

③ 事業所別の算定漏えい量を計算

回収証明書および充塡証明書から、またはそれらの内容を転記した機器ごとの点検整備記録簿の記録から事業所別に機器ごとのフロン類漏えい量の取りまとめを行います。

事業所別の算定漏えい量を計算

④ 都道府県別かつ冷媒種類別に全社(法人単位)として集計

事業所別に取りまとめたフロン類の算定漏えい量データをもとに都道府県別かつ冷媒種類別にフロン類漏えい量を取りまとめます。

都道府県別かつ冷媒種類別に全社(法人単位)として集計

⑤ フロン類算定漏えい量報告書の作成

都道府県別かつ冷媒種類別に取りまとめたフロン類漏えい量を報告様式(第1表)へ記入します。
*フロン類漏えい量は、算定過程では、小数点以下を残して計算し、報告様式への記載は小数点以下を切り捨てます。

フロン類算定漏えい量報告書の作成

以上ご紹介しましたように、充塡証明書・回収証明書をもとにして算定漏えい量を算出することはかなり複雑な作業を伴うことになりますので、時間もかかる一方、入力ミス等が起きる可能性も否定できません。

その解決策は?

RaMS(冷媒管理システム)の基本機能である情報処理センターやログブックをご利用いただくと報告書作成ボタンをクリックいただくだけで簡単に集計、確認いただくことができます。

情報処理センターの電子データ漏えい量の算定

参考事項

質問:7.5kW以上の第一種特定製品が定期点検実施対象をなっているが、算定漏えい報告の算定対象となるのは定期点検の対象となる第一種特定製品という認識で良いか。

回答: 算定漏えい量報告の算定においては、定期点検の対象機器のみならず、管理者が管理する全ての第一種特定製品からの漏え00008Bい量を合計して算定する必要があります。

質問:充塡だけしている(回収はできない)機器の場合、算定漏えい量の算定方法は「充塡量-回収量」となっているが、その場合はどう計算するのか。

回答:回収を行っていない場合は回収量を0として計算することとなるため、充塡量そのものが「算定漏えい量」となります。

質問:算定漏えい量は充塡証明書及び回収証明書から漏えい量を計算するとのことだが、機器の初期充塡量を元にしないで良いのか。

回答:整備時の充塡量及び回収量から算定漏えい量を計算することとされています。初期充塡量を算定に用いる必要はありません。 ただし、設置時の充塡はフロン類算定漏えい量の算定対象外です。

質問:算定漏えい量について、回収を当該年度に行い、翌年度に充塡を行った場合、どのように処理すれば良いのか。

回答:算定漏えい量の計算方法に基づき、それぞれ年度毎に集計して下さい。そのため、整備時に年度をまたいで回収と充塡が行われた場合は、回収時に算定漏えい量としてマイナス計上され、充塡時に全量が漏えい量として計上されます。

質問:機器の一時的な保管を目的に、充塡されているフロン類を回収し、当該年度内に再稼動を行わない場合、算定漏えい量の計算上どのように処理すれば良いか。

回答:保管することを目的に、フロン類を回収する行為は、法で定める「廃棄等」には該当しないため、当該行為に伴うフロン類の回収は算定漏えい量の計算の対象となります。 従って、冷媒を回収した年度はその分マイナスとして計算して下さい。 なお、再稼動に伴い、充填した年度については、充塡量を全量漏えいとして計算して下さい。